できちゃった結婚から2年、旦那が亡くなりました

ある日突然、授かりました。あらため、ある日突然、旦那が亡くなりました

いっときの気の迷い

私は側から見ても、少し過剰なくらい息子LOVEだったのだけど、

 

旦那が亡くなった翌日、まだ全く整理のつかない頭と心を抱えている中、じゃれ付いてくる息子を見ても「無」だった時があった。

 

いつもなら愛しさ爆発!な状態のはずなのに反応できず、

「旦那と息子の埋める穴は違うんだなぁ…」

なんて思ったりして。

 

このまま息子への愛情が戻らなかったらどうしよう、なんて思ったりもしたけど。

 

 

 

杞憂でした!!

夜中に目覚めた時に、少し暑すぎるくらいの体温も、ふわふわのほっぺも、横向きで寝てるせいでクチバシのように尖った唇も、全てが愛おしくてたまりませんでしたー!

 

どうしたんだろう昨日の自分?!

ちょっと頭いっちゃってた。

いつもの気持ちに戻れて安心した。

 

でも今旦那がいなくなって、

息子に依存するような親にはなりたくない、息子にはたとえママが1人でも憐れまずに、自分が寄り添わなきゃ!と思わずに自由に生きてほしいと強く思った。

 

お義母さんが先日息子に向かって、

「これからはママを守るんだよ」

って言ってくれたけど、

言ってくれたことはいいんだけど(理解してないし)お義母さんは本当に優しい人だから悪気もひとーつもないのはわかっているんだけど、

 

いつか息子がいろんなこと理解するようになったら、

ママを無理に守らなくていいんだよと言いたい。

仲良くはして欲しいけど笑

 

ママのために、自分の夢とか諦めないでほしいし、そばにずっといてあげなくちゃとか思わないでいい。

 

ママは1人でも楽しめるけど、

そこにあなたがいてくれたらプラスになるだけ。

 

そう思ってもらえるように、いつも笑顔で明るいママでいなくちゃと強く思った。

 

 

この世に引き止めてくれるものたち

こちらリアルタイムです。

 

明日は初七日。

お葬式は無宗教で取り行ったし、本人も信心深かったとは言えないけど、初七日はどうするべきだろう。

 

仏教の教えでは、死者は四十九日までに、7回お裁きを受ける…

そして明日その一回目。

 

旦那はクレームとか激しかったから

(謝らせたいとか、お金を返せとか言うのではなく、たとえばUberとか頼んで中身が間違ってたりすると、

こんなミスがありました、また頼みたいから今後こんなミスはやめて欲しいのです…という話をするのだけど、いかんせん酔ってるから延々としつこい。その節はホントすみませんでした!)

あっちの係の人?とかを、すごく困らせてそうだから、、

 

フォローのために祈っておきますかね。

初めての裁判で、うるさい!マイナス10点!とか言われたら可哀想だし。

 

まだまだやることあるんですよ…!

息子まだ2歳なんです…嫁は料理があまり得意じゃないから自分がいないと…

何とかなりませんかね?!

とかごねてそう。笑

 

息子がいるから私は救われています。

彼がいなかったらどうなっていたか…。

 

息子が一緒に寝てくれるから、温もりを感じながら眠りにつくことができる。

 

1人だったら、私も一緒に連れて行って…とだけ願う日々だと思う。

 

あとは、私のわがままに付き合ってくれる両親。

八つ当たりしても許してくれた両親。

 

とても感謝している。

 

旦那に会いたい。話したい。触れたい…。

 

でもまだ逝けない、と引き止めてくれる家族がいるから、生きていけている。

 

最後の優しさ

その後は、霊安室からのお迎えが来るまで、荷物をまとめたり、話しかけてみたり、リップ塗ってみたりキスしてみたり(しつこい笑)して時間を過ごした。

 

看護士さんが2人来て、彼の体を綺麗にしてくれると言うので、お願いして席を外す。

 

そういえば、先生から解剖したいとお願いされた。

これだけ治療しても良くならなかったから、体の中を見て今後の医学の発展に〜ほにゃららと言われたので、了承した。

 

解剖すれば腹水でパンパンだったお腹もスッキリするというし、

あまり善行を積んできたとはいえない彼が、あの世で少しでも待遇良くなるように(笑)、人のお役に立ってほしいというのもあった。

 

本当はこれから病院付きの葬儀社の人と打ち合わせて体をどうするかまで決める必要があったのだけど、

解剖をするならそれが終わってから決めてもいいと言うので、一旦帰宅することになった。

 

既に時間は5時をまわっていたけど、窓の外はまだ薄暗くて、看護士さんと、まだまだ日が昇りませんねなんて話をして。

 

この時は何故か冷静だったな、自分…。

 

これから帰れば、息子の朝ごはんを作ってあげて一緒に食べることができる。

 

普段ならトイレにまでついてきて、うっかり鍵をかけた日には開かないドアの前で泣き崩れるようなハイパー甘えん坊の息子が、

昨夜に限ってはほぼ手のかからないいい子だったと預けていた母がいうから、もしかしたら何かを察して我慢していたのかもしれない。

 

帰って抱きしめてあげなければ。

 

私は1人ではないんだ。

 

 

私が付き添いした日は結局、一晩だけ。

 

これが長くなっていても、私は息子を母に預けて、夜は泊まりこんでいたと思う。

急変するのは夜が多いという印象があったから。

 

そう考えると、

どうか、もしも逝ってしまうなら、他の人ではなくて私がそばにいるときに…という願いを叶えてくれ、

 

そして旦那が大切に大切にしていた息子に、これ以上寂しい思いをさせないように、朝ごはんにも間に合うように家に帰してくれた。

 

これは、だらしなくて意思も弱いけど、心はとても優しい旦那らしい気遣いだったのだと思っている。

お別れのキス

息が止まったのは深夜の2時半過ぎくらい、

お義父さんに連絡をしたのは3時頃。

私を1人したら可哀想だから、とこちらに来てくれることになった。

 

その後は先生が来て、瞳孔を見たりなんやらして(忘れてしまった)、午前3時〇〇分、ご臨終です。となった。

 

こんなセリフ、ドラマでしか聞くことないと思ってたよ。

聞くとしても、少なくともどちらかの両親の時かなと思ってた。

 

まさか自分のダンナのをこんなに早く聞くなんて…。

 

左の犬歯が折れ曲がって血が出ていたから、最後余程息が苦しかったんだと思う。

それでもこちらを見て、一生懸命に、息をしようとしてくれた。

私が深呼吸をして見せるのを見て、一生懸命に生きようとしてくれた。

 

逆に苦しませてしまったかもしれない。

眠ったまま息が止まった方が楽だったのかもしれない。

 

頑張らせようとして、ごめんね。

すぐに楽にしてあげられなくてごめんね。

私は自分の為に、あなたを苦しませてしまったのかな。

でもあなたは生きたい!ってずっと思ってた人だから、最期まで頑張ってくれたんだ思っていいよね。

最後、私のこと見えていたと思っていいよね。

 

ありがとう、ありがとう。

諦めないでくれてありがとう。

 

冷たくなった唇に、数えきれないほどキスをした。

数ヶ月ぶりのキス。

 

 

離れがたくて離れたくなくて、ずっと近くにいたかったけど、お別れの時間がやってきた。

 

まだ暖かいのに、息してない。

旦那が呼吸を止めて、1分、2分、3分…

看護士さんは、先生を呼んできますと言って出て行った。

 

もしかしたら、突然「ふぅーーー!」とか言って息を吹き返すんじゃないかと思ってずっと手を握っていたけど、

旦那が呼吸を始めることは2度となかった。

 

だんだん時間が経つにつれて、これだけ息止まってたらもう無理だよね、とか、

心臓にこれだけ血がいかない時間があったらもう、、とか少し冷静に思った。

 

でも、さっきまではとてもとても苦しそうだったから、少しだけ、ほんの少しだけホッとした。

 

涙がつーっと一筋だけ流れていたから、拭いてあげた。

目を閉じてあげようと思ったけど痩せすぎているのが無理だった。

 

まだ手も首もあたたかい。

 

お疲れさま…よく頑張ったね。

と、なんで??生きて帰るって言ったのに嘘つき!という気持ちが混ざって複雑な感じ。

 

20分ほど経ってもまだ先生は来なくて、何で思う存分話しかけたり、チュッチュしたり手を握ったりした。

手がだんだん冷たくなってきて、「あー、人はこんなにすぐ冷たくなるのか…」と思った。

首に触れると暖かかったのが救いだった。

 

ふと、お義父さんお義母さんに連絡していなかったことに気がついた。

 

旦那の死に立ち会って②

別室のモニターに出ていたのだろう、

旦那の口と鼻に、酸素マスクをつけられた。

 

少し穏やかになる旦那。

でもすぐまた苦しそうに肩で息をし始める。

 

嫌だ、嫌だ、行かないで。

おばあちゃん、〇〇さん、旦那をまだ迎えに来ないで。

旦那がそっちに行きそうになったら、引き止めて私のところへ戻るように伝えて。お願いだから。

 

「頑張って!息を深く吸うんだよ!楽になるよ!あとね、お花畑が見えてもそっちには行かないで!光が見えても行かないで!

私の声だけを聞いて!私のところに戻ってきて!」

 

もう看護士さんがいるのも気にせずに叫んでいた。

たまにふっと呼吸が止まることがあるように見えたけど、病室にはドラマのような心電図やら何やらを写すディスプレイがないのでよくわからない。

 

「先生を呼んできます!」

看護士さんが出て行って、また2人きりになった。

 

「きこえるー?明るい方には行かないで!振り向いて暗い方に来るんだよ!

私の声だけ聞いて!私の方に来て!

おばあちゃん、旦那を引き止めて…」

 

息子が無邪気に、パパ〜と言っている動画を耳元でリピートさせた。

 

「チビの声きこえる??こっちだよ!

あなたの進む方はこっちなの!」

 

もう泣き声で何度も叫んだと思う。

 

 

先生が病室に入ってきた。

 

「心臓が止まったり、また動いたりしています。

最後の力を振り絞っているのだと思います」

 

 

旦那は諦めてない。

 

息子の運動会で走るシミュレーションをしていた、旦那。

 

財布が古くなったから退院したときのために、ネットで注文していた旦那。

 

お気に入りの靴が古くなったからと、これもネットで購入していた、旦那。

 

全部、もう届いている。

 

彼は死ぬ気なんてさらさらない。

生きたいという気持ちを持ち続けている。

 

 

「頑張れ!諦めないで!頑張ってよー!」

 

今は苦しくても頑張らないと。

だってどうしても生きたいんだよね?

大丈夫、俺は死なないからって、手握ってくれたよね。

 

私もあなたに生きていてほしい。

色んなことあったけど、離婚だ!とも何度も言ったけど、

長い入院生活で旦那は少し変わった。

生きて欲しい。

 

散々嘘つかれて泣いたこともあったけど、

最後まで嘘つかないよね?

 

 

旦那の呼吸がまた止まった。

さっきまでは揺さぶると、思い出したように息をしてくれていたのに、

今度は止まっている時間が長い。

 

また揺さぶってみる。

ガッチリしていた首がすごく細くなっていて、強く揺さぶったら折れてしまいそうで怖かった。

 

息が止まって1分、1分30秒、2分…

 

いつの間にか先生はいなくて、看護士さんに変わっていた。

看護士さんが小さな声で何か言ってる。

 

「モニターを見る限り、心臓が、もう…動いていません…」

 

 

 

 

その言葉を聞いたのを最後に、そのあとの数分の記憶がない。

 

私の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていたことだけは確かだまたと思う。

 

旦那の死に立ち会って①

15分に一回だった痙攣が10分に一回になって、ナースコールを押した。

 

看護士さんが来てくれて、鼻水と痰を細いチューブで吸ってくれた。

 

この時はまだ、看護士さんってすごい仕事だなぁ…と思いながら少し離れて見ていた。

 

看護士さんが処置を終えて出て行くと、

また2人きりになれたね♡なんて話しかけていた私。

 

なんてお気楽なんでしょう。

別れがもうすぐそこに迫っていることも知らずに。

 

旦那は時々、うめき声をあげるようになった。

肩で息をし始めている。

 

ナースコールをしようとしたら、別室でモニターを見ていた看護士さんが病室に入ってきた。

 

「大丈夫ですか?息少し苦しいですねー。」

と話しかけている。

 

酸素濃度は下がっていないらしく、酸素マスクはまだしないらしい。

看護士さんは、また何かあったら呼んでくださいと行って出て行った。

 

何かって何ー??今すでに辛そうじゃないですか??と思ったけど、とりあえず枕元に戻る。

 

また肩で息をしだす旦那。

「深呼吸するんだよ!もっと深く息吸ってー。そんな溺れてるみたいにハーハーしてたら余計苦しいよ!」

 

話しかけながら何度も深呼吸をして見せると、ギョロリと苦しそうな目でこちらを見ながら、深呼吸しようとしてみる旦那。

 

私の声、聞こえてるのかな。

それとも本能でやってるのかな。

 

わからないけどそんなことを何度繰り返しただろうか。

携帯で動画を再生して、息子の声も聞かせた。

 

また慌ただしい様子で、看護士さんが今度は2人、病室に入ってきた。