旦那の死に立ち会って①
15分に一回だった痙攣が10分に一回になって、ナースコールを押した。
看護士さんが来てくれて、鼻水と痰を細いチューブで吸ってくれた。
この時はまだ、看護士さんってすごい仕事だなぁ…と思いながら少し離れて見ていた。
看護士さんが処置を終えて出て行くと、
また2人きりになれたね♡なんて話しかけていた私。
なんてお気楽なんでしょう。
別れがもうすぐそこに迫っていることも知らずに。
旦那は時々、うめき声をあげるようになった。
肩で息をし始めている。
ナースコールをしようとしたら、別室でモニターを見ていた看護士さんが病室に入ってきた。
「大丈夫ですか?息少し苦しいですねー。」
と話しかけている。
酸素濃度は下がっていないらしく、酸素マスクはまだしないらしい。
看護士さんは、また何かあったら呼んでくださいと行って出て行った。
何かって何ー??今すでに辛そうじゃないですか??と思ったけど、とりあえず枕元に戻る。
また肩で息をしだす旦那。
「深呼吸するんだよ!もっと深く息吸ってー。そんな溺れてるみたいにハーハーしてたら余計苦しいよ!」
話しかけながら何度も深呼吸をして見せると、ギョロリと苦しそうな目でこちらを見ながら、深呼吸しようとしてみる旦那。
私の声、聞こえてるのかな。
それとも本能でやってるのかな。
わからないけどそんなことを何度繰り返しただろうか。
携帯で動画を再生して、息子の声も聞かせた。
また慌ただしい様子で、看護士さんが今度は2人、病室に入ってきた。